観葉植物の中でも生命力の高いパキラは、初心者でも育てやすいとされています。とはいえ、冬の季節も通常のように育てても問題はないのでしょうか。この記事ではパキラを安全に冬越しさせるノウハウをご紹介していきます。
冬のパキラの生態
パキラの原産地は、熱帯アメリカと呼ばれるメキシコやコスタリカなどです。日本との大きな違いとしては、日本に比べて季節毎の気温差があまりないという事があげられます。
つまり日本の冬をパキラに乗り切ってもらうには、これらの原産国と同じような環境にしてあげることが近道です。
パキラの冬越しに大切な3つのこと
パキラの冬越しに特に重要な要素は下記の3つです。
- 温度管理
- 湿度管理
- 水やり頻度
それでは、順番に解説していきます。
1.温度管理
パキラの原産国から考えると、20℃前後が最適な温度と言えます。冬でも5℃くらいまでなら耐える(成長はしない)ことはできます。しかし、パキラを含む観葉植物にとって冬の何が危険かというと、低気温であるという事よりも、1日の温度差が激しいことです。
人間のような恒温動物は、体温を自ら調節することで生命を維持していますが、植物のような変温性の生物は、外気の気温でも生き延びられるように、体内のメカニズムを周りの環境に順応させることで生き延びています。つまり、急激に気温が変化するような時は体内の順応が追いつかずに枯れてしまうという事です。
砂漠で植物が育ちにくいのは、この1日の急激な温度変化に順応することができないからです。また参考として、基本的に植物は1日の気温差が10℃以上になると弱ってしまうと言われています。
冬の寒い時期を乗り越えるには、「寒くさせない」のと同時に「気温を一定に保つ」ということを心がける必要があるというわけです。
温度計はマストアイテム
体感温度では個人の状況によってバラつきがあるので、温度計は常備するようにしましょう。温度計は時計と一緒に表示されているようなもので管理するのではなく、パキラのすぐ近くに置ける、パキラ専用の温度計を用意しましょう。
日中の温度変化が少ない置き場所を選ぶ
温度変化を避けるということを考えれば、外に出しっ放しにすることは当然NGですが、意外と室内でも気温が変化をしやすい場所もあります。例えば「窓際」は、昼間は日が差し込んで比較的暖かいのですが、日が落ちると急激に温度が下がっていくようなデススペースといえます。
また暖房を付けることで急激な温度変化が起こりやすい、「リビング」や「寝室」もあまりおすすめではありません。そのような意味では多少気温が寒くても、温度変化の起きにくい「廊下」や「玄関」といった場所の方が安全といえます。
また移動をさせる前には写真を撮っておきましょう。私の経験上では、置き場所を変えると急激な変化(元気になったり、弱ったり)が起こりやすいです。早めに異常を発見することは後の生存率を大幅に高めてくれます。
発砲スチロールや段ボールで覆うのも一つの手だが...
夜の気温が一気に冷え込むような時間帯は、全体を覆うように、発砲スチロールや段ボールで覆ってあげるのも対策の一つです。
しかし、個人的にはあまりおすすめではありません。観葉植物なのに、覆ってしまったら「観葉」できないですし、なにより面倒臭いです。これはあまりにも弱ってきたと感じた時に対応をすれば良いと思います。パキラはそんなに弱い生き物ではありません。
2.湿度管理
続いては湿度管理についてです。空気が乾燥することが、パキラにとって深刻なダメージとなるケースは少ないですが、空気の乾燥は光合成を阻害するため、生存しにくい環境に近づいてしまうことは確かです。可能であれば湿度は50%以上に保ってあげましょう。
また暖房などをつけていると空気がさらに乾燥しやすくなるので注意が必要です。1日に2回ほど葉っぱに霧吹きを吹きかけてあげましょう。
ちなみに、ミニパキラをおしゃれに湿度管理する方法を別の記事でも紹介をしていますので、是非参考にしてみてください。
3.水やり頻度
温度、湿度と説明をしてきましたが、実は冬場にパキラを枯らしてしまう原因の殆どは、水のやり過ぎです。元々生命力の強いパキラは、少しくらい環境に変化があっても順応することができるので、問題なく生き延びやすいです。しかし、水だけは夏場のようにジャブジャブあげてしまうと、あっという間に枯れてしまいます。
冬場は一番根腐れしやすい季節
気温の高い時期などは、少しくらい水を上げ過ぎてもすぐに蒸発してくれます。一方気温が低い時期は土の中で水分が停滞するため、表面は乾燥していても奥の方は全然乾いていないという現象がよくあります。また、パキラ自身も冬場は代謝が落ちているため、うまく根っこから水分を吸収できません。
土の中で水が蒸れると、根っこは呼吸ができなくなり、やがて腐ってしまいます。根っこが腐ってしまうと、ほぼほぼ復活はできないと思っておいた方が良いでしょう。そのため、冬場はいつも以上に水やりの頻度を減らしてあげる必要があります。
単なる水不足であれば復活する可能性も高い
葉っぱが付け根の茎からぐったりと垂れ下がってきたら、水不足の合図です。できればこの状態になる前に水をあげたいところですが、根腐れさせてしますよりマシですし、なによりこの状態であれば復活の可能性が高いです。というより水をあげれば全然復活します。いずれにしても日々の観察は欠かせないという事です。
冬場の水やり頻度
どの季節も同じですが、しっかりと土が乾ききってから水を与えるというのが基本です。1〜2週間に1回くらいとは言われていますが、パキラの配置場所や室温、土の種類や水はけ具合によっては全然異なります。そこで、パキラの水が不足している状態をチェックする方法を紹介していきますので、参考にしてみて下さい。
方法その①:土を掘る
単純且つシンプルですが確実です。植木鉢の隅の方を掘り進めてみて、深部まで乾いていたら水やりの時期です。とはいえ手が汚れてしまうのと、かなり面倒なのであまりお勧めは致しません。
方法その②:土に割り箸を差してみる
簡易的にはなりますが、割り箸を植木鉢に差し込んでみるのも一つの手でしょう。写真のように土が割り箸にまとわりついてくるような時は、まだ湿っているというサインです。逆に完全に乾き切っているような時は割り箸にあまり土が付着しません。確実性は低いですが、一か八かで水を与えるなら一度試してみた方が良いです。
方法その③:水やりチェッカーを導入する
水が不足するとチェッカーの色が変化するというとても便利なアイテムがあります。定期的にチェッカーを確認して、色が変化していたら水をあげるというだけなので、非常に楽で確実です。半年くらい経つと芯を交換しないといけないのですが、冬の数ヶ月だけ乗り越えてくれれば良いので十分でしょう。
日光には当てなくて良いの?
冬越しに大切な3つのポイントに含まれていない「日光浴」ですが、当然必要です。冬だけではなくどんな季節であっても必要なことですので、忘れないようにしましょう。
ただ、パキラは他の観葉植物と比較をしても、耐陰性という能力に優れているので、ずっと当てる必要はありません。週に一回のお休みの日などに、レースカーテン越しの柔らかい光を当ててあげるようにしましょう。
パキラの冬越しに大切なのは観察
ご自宅のパキラはどれくらいのペースで観察していますか?実際、水やりの時くらいしかじっくり観察しないことも多いと思います。しかし日々観察することで、微妙な変化に気付く事ができるようになり、パキラからのSOSを見逃さずに済みます。
急激に気温が落ちるような日は、パキラにも変化が起きやすいので、注意深く観察をするようにしましょう。温度管理、湿度管理、水やりの頻度が正しいかは、日々の観察がないと分かりません。